拡大し続けるドローン市場。空撮や測量を中心とした活用が多い中、近年では新たな活用方法が増えてきている。そんなドローン活用が当たり前になってくる将来を見据え、今年2022年12月にはドローンの免許制度化(国家資格)が予定されている。
今回は、今後需要が高まっていくとされるドローンパイロットの養成を行うスクール事業やドローン販売などに取り組んでいる株式会社エアーズの代表取締役専務・実籾富二男氏にお話を伺った。

實籾富二男氏
「安全性を重視したドローン技術者の教育やサポートを全国的にカバーしていきたい」

―――エアーズの会社概要や事業内容などについて教えてください。
株式会社エアーズは2019年に設立されたベンチャー企業で、パイロットの養成やドローンの販売、点検や測量といった各種サービスの受託などをしています。現在、従業員は役員込みで15名でやっています。

―――他社にもスクール事業を行っているところがありますが、どのような点が差別化している部分、または強みだとお考えでしょうか?
全国の各都道府県にスクールを展開する予定です。各地の地元優良企業さんとパートナー契約を結び、現在40校近くが展開されています。各都道府県にサービス拠点となるスクールがあることが強みだと思っています。
また測量に関しては、航空測量最大手のパスコさんと、点検の方は日立システムズさんとカリキュラムを開発しています。
弊社では単にドローンを飛ばすというだけでなく、測量や点検の事業で活用していくための技術を習得できるコースが揃っているところも強みだと言えるのではないでしょうか。

―――ドローンが普及し始めていることを実感した事例や、新たな活用方法はありますか?
航空測量は元々セスナ機で測量するものでした。ドローンが登場してより安価に、手軽に狭い範囲の写真測量ができるようになりました。点検作業では、人が近寄れない場所にドローンを飛ばし赤外線カメラで点検することが可能になりました。
新たな活用法としては、農業における害獣対策としてドローンに搭載したスピーカーで音を出して威嚇し、野生動物を追い出したりとかですね。人の体温を検知できる赤外線カメラを使えば、災害や山などで人の捜索にも活用できます。

▲ACSLの販売代理店として発売している国産ドローン「ACSL-PF2」


―――いよいよ登録制度が始まりましたね。
そうですね。国の方で制度改革をしてまして、今年6月からドローン機体の所有者情報登録が義務化し、さらに12月からは免許制度が始まります。
やはり安全性を重視していまして、免許を取得し知識と技術を持ったパイロットが必要になります。例えば人を傷つけてしまうとか、ものを壊してしまったりといった対人対物の事故が起こりうるので、安全性こそがドローンに関わる事業者にとって最も重要なことだと思います。
もちろん、スクールでも安全性に重きを置いた教育を行っています。

―――将来的に活用していきたい業界やジャンルはございますか?
「物資輸送」を今後の課題としてチャレンジしたいですね。
現在のドローンでは積載量があまり多くないのと、バッテリーで飛んでいるので飛行時間が約40分程と、どうしても制約が出来てしまいます。コンビニから近隣の住宅までお弁当を運んだり、マラソン大会の現場へAEDを運ぶなどの実証実験をしていますが、今後のドローンの進化で積載量と飛行時間が増えれば実際に活用されていくのではないかと思います。
それから、今手掛けている「密漁監視」というものがあります。AIを使用したドローンで密漁を行う怪しい人物や船の特定をするといった港湾管理システムで、こちらもずっと開発を続けています。

「密漁監視」※写真はイメージ


―――将来の展望などお聞かせください。
地方でドローンを使用していて困った時などにスクールに声をかけていただいて、何らかのサポートをしていくようなことが出来ればと思っています。弊社で受けた仕事を各スクールに実施していただいたり。
すでに対応している案件ですが、屋根の点検において地方のものはスクールにお願いして対応してもらっています。そういったところで、将来的には全国をカバーするサービスプロバイダーという立ち位置になっていけたらと思います。


株式会社エアーズ http://airds.co.jp/
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