女性の社会進出が徐々に進みつつあるが、理系の分野で働く女性比率はは文系の分野に比べ伸び悩んでいるのが現状です。
様々な企業がSDGsを推進していく中、特にジェンダーの平等に力を入れ、近年話題になっている「ドローン」を使って女性の社会進出を後押ししているコミュニティがあります。

株式会社Kanatta 代表取締役社長の「井口恵」氏と、もともとドローンジョプラスのメンバーで、現在はドローン事業部の一員として活躍されている「中山絵美」氏にドローンジョプラスの知られざる活動内容をインタビュー形式で伺いました。

株式会社Kanatta 代表取締役社長「井口恵」氏

株式会社Kanattaの会社概要について教えて頂けますか?

井口社長「SDGs目標5の『ジェンダー平等を実現しよう』が会社の理念です。それに基づき、『ドローンジョプラス』と『コスモ女子』の2つのコミュニティを運営しています。それぞれ、ドローンと宇宙業界で活躍する女性を輩出することを目標に活動しています。」

ドローンでコミュニティを作ろうと思ったきっかけはありますか?

井口社長「現在ドローン業界で活躍している女性の割合は1-2割ほどです。急成長している分野なので、女性のコミュニティを作ることで女性の社会進出に貢献出来るのではないかと思い、6年前に『ドローンジョプラス』を設立しました。」
「宇宙業界も男性が主体となっているので、『コスモ女子』を2年前に設立し現在も成長を続けています。」

事業内容を教えてください

井口社長「『ドローンジョプラス』は学校・商業施設・会社でお子さんから大人まで幅広い年齢層がドローンに触れ合えるようなイベントと、ドローンを使ったプログラミング教室を開催しています。特にお子様向けの教育コンテンツが拡大中です。」

井口社長「それとは別に、産業用ドローンが活躍する物流・点検・農業の分野で、弊社に頂いた依頼を『ドローンジョプラス』に委託していますので、コミュニティでありながらドローンの仕事に従事することが出来ることも魅力の一つです。」

メンバーの皆さんは普段どんな活動をされていますか?

中山氏「イベントを開催する際にスタッフとして活動しています。お子様からお年寄りの方まで幅広い年齢層が参加するイベントでは、初めての操縦でも恐怖心を感じないように心がけた接客を心がけつつ、ドローンは空撮やレースなども出来ることを伝えるようにしています。」

中山氏「今後は産業機を使った事業を開始しようと考えています。私は産業機を使った現場に数年在籍していた経験があるので、私がロールモデルになるべく、今後はメンバーを育てていきたいです。」

ドローンジョプラスに参加している年齢層はどのくらいですか?

井口社長「20歳前後から60代までの幅広い年齢層で、約70名在籍しています。」

ドローンジョプラスに参加するきっかけは?

井口社長「SNSを通じて入会するメンバーが多くを占めますが、空撮が好きな方が多く、インターネット検索から『ドローンジョプラス』に行き着いた方も多くいらっしゃいます。その中でもインフルエンサーとしても活躍している方も在籍しています。」

活動を通して楽しかったこと・苦労したことはありますか?

中山氏「有害な電波は目で見ることが出来ないので、ドローンは意図しない動作や操縦不能に陥ることが多々あります。そのため、安全管理者を数名配置する必要があります。」
「コミュニティのみんなで考えた、参加者の皆さんが喜んでいただけるイベントが事故なく無事に終えられ、参加者の皆さんにドローンの楽しさを伝えられた時が楽しさとやり甲斐を感じる所だと思っています。」

中山氏「産業機を扱う分野での仕事を頂いた時は、天候が読めない上に限られた時間の中で成果を出さなければならないのでとても緊張します。どのような場面でも臨機応変に対応し、お客様に満足頂ける結果を出せるよう業務を遂行することが苦労というより緊張する場面です。」

井口社長「私は現場でドローンを操縦することはなかなかありませんが、『楽しかった』というお声を頂けた時はとても嬉しいです。」
「まだ世間にドローンが浸透する前からドローンを扱った事業を始めていますので、当時はとても苦労しました。6年前に首相官邸にドローンが落下した事件が大々的に報道されたこともあり、『怖いイメージ』が広まっていたので、安全性の説明はもちろんですが、興味を持って頂きドローンを理解していただけるまでが、とても苦労しました。」

ドローンが世間に浸透する前に、ドローンを理解して頂くことはとても大変なことですね。

井口社長「大変なことでした。しかし、当時の経験が今に活きているなと感じる場面がたくさんあります。」
「全長が2mほどもある大型の産業機を扱うとなると、万が一操縦不能に陥ったら大変危険です。ドローンに触れたことの無い方はより怖いイメージを持つことも考えられます。」
「ドローンを使った物流の実証実験をする際に、地域住民の方にお話をする機会がありますが、女性がお話した方がより安心感を与え、ドローンについてご理解を頂けることがあります。このような女性ならではの安心感が女性コミュニティである『ドローンジョプラス』の強みだとも言えます。」

ドローンジョプラスとして発信したい内容はありますか?

中山氏「講師として意識していることは、どのような目的で勉強会や練習会にお越しになったのかヒアリングを行い、それぞれの参加者に合ったイベントになるように工夫をすることです。」

中山氏「勉強会は、全体公開しておらず来てくださった方に特別に行っていることなので、参加者の満足度を上げるために、『それぞれの方が何をしたいのか』を意識して、参加者に合った話を多くするなどの工夫をしています。」
「産業機を扱いたい方が参加されると、今後一緒にやっていきたいので、これまでに私がやってきた経験や今後のドローンビジネスについてお話しています。」

中山氏「ドローンが身近な存在になりつつありますが、現場で感じることは男性が多いということです。特に産業の分野ではヘリコプターやラジコンの操縦をしていた方が多いこともあり、特にそのように感じます。会社の理念として『ジェンダー平等』を掲げているので、女性比率が1-2割ほどであることが残念でもあり、これを変えていくことがやりがいの一つだと感じています。」

中山氏「今後はより多くの女性に向けて、ドローンを『仕事の選択肢』として発信し続けたいです。」

今後はどのような活動をしていきたいですか?

中山氏「ドローン業界で活躍する女性を増やしたいです。業界自体は成長していますが、女性比率が低いので、5割まで上げられたら良いなと思っています。『活躍する』というのは『稼ぐ』ことでもあるので、ドローンを本業とする女性を増やしていきたいです。」

井口社長「産業機を扱い、かつ稼げる女性。産業機でなくともドローンを使ったプログラミング教室の講師として働くことも選択肢の一つだと思います。ドローンを活用することで女性が自立して稼げる方法があることを発信出来たら良いなと思っています。」

将来的にドローンを通してどんなことをしていきたいですか?

井口社長「ドローン業界で女性比率5割に到達するには、小さい頃からの教育が必要だと思っています。私自身も高校までは理系でしたが、当時は女性が理系を選択することは少ない印象でした。男性が多くハードルの高さを感じ、大学時代に文転しました。理系を選択する女性が少ないことも、ドローン業界が男性主体になっている原因かもしれないと思っています。」

井口社長「小さい頃から、理系の分野やドローン自体が身近になれば、よりお子様の将来の可能性を広げられると考えています。小学生でもプログラミングが必修になっていますが、プログラムを書きドローンやロボットを動かす作業までの経験は無い方が多いと思います。体験会ではドローンが動く姿を見て、子どもたちから『楽しい』と聞けたり、一緒に参加している親御さんからも『こんなに楽しんでいるのは見たことがなかった』とお声を頂けています。」

井口社長「子どもたちの成長と共に、ドローンがより社会に浸透していきますので、ドローンを扱う分野に興味を持ってくれる児童、特に女の子が増えてくれたら良いなと思っています。」

井口社長「そして、今後はドローンを通して、教育分野にも力を入れていきたいと考えています。」

会社概要

株式会社Kanatta
https://kanatta.co.jp/about/【ドローンジョプラス】
Twitter:https://twitter.com/drone_girls
Instagram:https://www.instagram.com/dronejoplus_official/
【コスモ女子】
Twitter:https://twitter.com/cosmosgirl_O
Instagram:https://www.instagram.com/cosmos_girl_official/